晴れると暑く雨が降ると寒い今日この頃、
皆さまいかがお過ごしでしょうか。
かろうじて体調は崩していない下弦です。
シュテルンビルト万年筆、とうとうやってきましたね!
ポチった方々、満喫しておりますか?
私は己の万年筆ヒストリーに思わぬ動きがあり、心の中でむせび泣いております。
あまりのことにつらつらとポエムしてしまいます。
昔から万年筆の不良というと、どういうわけかヒビとそれによるインク漏れに縁がある。
せっかくの楽しげな限定万年筆が初期不良品では面白くない。
グッズとして、収集品としてだけでなく、万年筆として生きているかどうか確かめる為に、インクを入れた。
セーラーの万年筆は、一部を除きハート穴までインクに浸すだけでインクの吸い上げができるという。
軸が汚れなくて結構。
シュテルンビルトナイトブルーと銘打たれた青いインクがペン先を濡らす。
それを見て、ここにオリオン座が刻まれた意図を知る。
夜色のインクの中に星が輝くなんて、ニクい演出だ。
はじめて触れたはずなのに、このペンには奇妙な懐かしさがある。
キャップを回す手応え、軸の手触り、首の佇まい。
私は この万年筆を 知っている気がする
オートのときもパイロットのときも感じなかったこの既視感は、セーラーの万年筆だからなのか。
私には、メーカーも型番もわからない初恋の白い万年筆がある。
保証書のなんたるかも知らない年頃に貰ったその一本は、初期不良により活躍することなく私の手を離れた。
いや、最終的にどこかにしまい込んだのか、捨ててしまったのか、わからないが。
ともかく、朧げで、それなのに決して忘れられない一本があるのだ。
その一本が、きっとセーラーの万年筆なのであろうと直感した。
だってあまりにも似ているのだ。
このペンに触れるまで忘れていた、
思い出せないものになっていた、指の記憶が、頭をもたげたのだ。
ずっと嵌合式だと思っていたキャップも、あまりに強烈なデジャヴで覆った。
パイロットのネジとは感触が違った。
信じられない!ネジの感触とは違うものなのか!
セーラーのネジ式キャップには初めて触るはずなのに、どうやら私はこれを知っている。
なんて出会いだろう。
ろくに字も書けないままなくしたあのこを、私の手は覚えていた!
製品情報にそれらしいモデルが無いから、きっと廃盤なのだろう。
だけどいつか、きみがだれだったのか判るだろうか。
名前だけでも構わない。
きみを知る誰かと、あの子は本当にかわいい万年筆ですよね。なんて話ができるから。
もし、この記事を読んだ人の中で、20年と少しばかり前のセーラー万年筆に詳しい人がいたら、聞いてみたいと思う。
小ぶりな乳白色の万年筆を知らないかと。
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